ルーム

ふとした時に喉から出る変な音

9

 

奇しくもそれはワタシのソウルナンバー

 

占いの類を信じるワタシは少なからずこれまでの人生でその数字に沢山の縁を感じずには居られなかった

 

例えば生年月日だったり

ことある事に9を目にしたり...

 

2011311

全ての数字を+と9

 

 

"その日"から9年

 

 

皆は何を考える?

 

 

 

きっと最後は笑ってる

 

 

少し背伸びをした先の糸に手をかけ始める

無題

 

 

あの頃は絶望していた風が吹かない日のただ吊るされているだけの鯉のぼりの様にもしくはもう二度とつく事がない路地裏のネオンの様に

 


人が行き交いすぎる東京の街のあちらこちらで心が溺れていた


泳ぎ方を忘れてただ流されるだけ流されて漸く這い上がった先は真っ白な部屋だった

 


既に心は目を開けることをやめていた

 


次に目を開けた時には青が黒だった

 

目に入る色という色が激しく点滅しては斬りかかってくる色が無い日もあった


どうしようもない恐怖と焦燥感は簡単に呼吸を難しくさせるのだ

 

 


外に答えを求めても見つかるはずがないそれは自分の中に

 

 


今日も恐怖と焦燥感を背負って。

 

 

 

怠惰風情

 

やめてやめないで生きて死んで


さみしいくるしいむなしいうれしい


ものの数分で消える後数センチの線香の香りを頼りに

 


白黒の世界線の上で踊るコンテンポラリーダンスには数億の価値が

 


騒々しい無音の部屋で体を転がして明日は自ずと顔を出すと信じている

 


すいすいと鍋の中を泳ぐ泳ぐ魚の死んだのが泳ぐ

 


見える?あれが踊る木々の上に実る子供たちの叫び

 


目を 目を 目を 目を逸らさないでよく聞いて

 


I'm invited to the scent of frosted laundry and leave today

 


幸せに埋もれて

 

 

 

 

 

ここまでは泳いできた

 

使い古した歯ブラシが三本


引き出しの中に散らばった爪楊枝


貯まった灰が静かに眠る灰皿


開けてない缶チューハイ

 

無理やりにでも出す洗剤


ディスクはまだかと待ってる電源をつけただけのDVDプレーヤー


こいびとと別れた後に見る消せないLINEのアルバム


好きだった歌


友達と朝まで飲んだくれて見上げた空


飛行機から見下ろす向こう側の海


家族から聞く昔の自分


青かった


全て


深く眩しい青

 

 

 

 

 

アンチノイズキャンセル

 

ザラザラする


ザラザラしてる


この前食べたラーメン


口の中がザラザラしてる


帰宅ラッシュの渋谷

 

空気がザラザラしてる


甘いドーナツ


口の中がザラザラしてる


友達と言い合いになってしまった帰り道


心がザラザラしてる


家電量販店の4Kテレビ


中で人がヌルヌル動いてる


ザラザラは


決して無くなったりしない

 

 


引っ掛かりがある方が


掴みやすい何事も

妖精

 

まどろみの中、君が起きたことに気づきつつ布団から抜け出せない いや抜け出さない


朝に昨日の片付けをしようと約束したから


片付けなんか面倒でしょうがない

寝たふりと本物の睡魔の間で反復横跳びをして時間を稼ぐ


睡魔から逃げ切ったところで薄目を開ける


君がその細い指でそれがまるでひとつのアートなのかと錯覚するくらいしなやかに床の服を空いた缶を絡まったコードを拾っているのが見えた

 

見とれて動けない

 

 


手伝ってよ。と気づいたのか気づいてないのか君はこちらを見もせずに苦い顔をするが、それさえも甘ったるくどうしようもなく切なくてまた私を動けなくする

 

 


片付けをするのもたまには悪くないかとおもわせてくれる君はいったい

 


綺麗な部屋をあとにして買って4日目のスニーカーを履いて青と白の下に駆け出す

 

 

 

140億とちょっとの川より

 

涙なんてものはオプションであって、感情が大きく動いた時を分かりやすく可視化したものの1つだと考える

 

そんなオプションもないよりあった方がいいわけで

 

 

ふと顔を上げると涙がながれていた

 

 

とても綺麗な涙だった

 

 

 

想いが募った時、激しく怒った時、後悔に苛まれた時、時を吸い込んでいく毎に沢山の涙を覚えてきた

 

 

最期に流す涙こそ綺麗だったと言われたい。